ムーブメントの真髄は?2008/10/03 22時00分48秒

夏期セミナー愛媛大会の様子
夏休み中に、愛媛支部では二つの大きな活動を行いました。
一つ目は、7/26(土)・7/27(日)の「夏期セミナー愛媛大会」
二つ目は、8/8(金)の幼稚園、小中学校、特別支援学校の教員を対象にした毎年恒例の「特別支援教育夏季実技研修会(B講座:ムーブメント教育)」
です。
この二つが夏休み中の大きな活動なのですが、どちらにも毎月1回行なっている愛媛支部の学習会で、元気に活動してくれる子どもたちが参加してくれました。そのお陰で、活動が盛り上がったことは言うまでもありません。

「誰のためのムーブメント教育か?」を考えた場合、その場に子どもがいて一緒に活動し、子どもの反応を確かめ、感動を共にするというのは、ムーブメント教育の真髄だと思います。
「子どものためのムーブメント教育」を大人たちが学ぶ場で、子どもがその場に参加してくれるありがたさ。まさしく生きた学問だと実感しました。
夏休み中の大変暑い日にもかかわらず、子どもたちはどちらも喜んで参加してくれ、保護者の方々も理解をしてくださり、一緒に楽しんで活動してくださいました。本当にありがとうございました。

子どもからのあふれ出るパワーと、保護者の熱い思いの波に乗って、愛媛支部の活動もさらにパワーアップしていきたいと思います。

子どもの反応から学ぶ2008/04/16 20時24分03秒

紙吹雪の様子
 本業である学校の仕事に追われてしまい、しばらくブログの更新が遅れていました。少しずつ溜まった思いやネタを織り交ぜながら、ブログに載せていきたいと思います。

 さて、先日の3/30(日)に「NPO法人ぷちすてっぷ(発達障がい児の支援を考えていく親の会)」から依頼を受け、ぷちすてっぷでは約3ヶ月ぶりのムーブメントを行いました。この日は朝から雨が降っていたにもかかわらず、春休み中だったこともあり参加した子どもの数が20名近くと、これまでにない大人数でした。
 今回のプログラムは、
①絵本の読み聞かせ
②タオルムーブメント
③缶ポックリムーブメント
④スクータームーブメント
⑤うちわムーブメント
⑥パラシュートムーブメント
 というように、愛媛支部で行った活動を少し修正した内容で構成し、約1時間という少し長目のムーブメントを行いました。

 このぷちすてっぷのムーブメントに参加してくれる子どもは、多くが自閉症もしくは自閉傾向のある特性をもっております。最初のうちはムーブメント活動に対する興味関心があまりなかった子どもたちも、さすがに3回目の活動ということと、活動場所も3回とも同じ場所であるということもあって、場所の雰囲気やムーブメントの流れにも慣れてきて、積極的に参加してくれるようになりました。
 しかし、子どもたちは素直で正直なもので、順番を待たされるもの、最初面白そうだと思って取り組んでみたものの、やってみたら興味がもてなかったもの、始めから興味関心がないものなどにはその場を離れてしまい、遠巻きに活動を見ながら自分の好きな遊びに興じることがよくあります。場の設定や指示の出し方、教材や遊具の使い方はよかったのか?と、この時ほど我々の環境設定の仕方を痛切に反省させられることはありません。
 今回で言えば、缶ポックリとスクーターのムーブメントでした。最初の取り掛かりはよかったものの、時間が経つにつれて一人減り、二人減りと少しずつ減っていって、約半分の自閉症の子どもがその場を離れてしまいました。
 ところが、うちわを使ってたくさんの風船を打ち上げる「うちわムーブメント」になると、少しずつみんなの集団に戻ってくるようになり、両手でうちわを持ちカラフルな風船を体育館いっぱいに追いかけていました。そして、細かく小さく切った紙をうちわで扇いで紙吹雪を起こす活動では、扇げば扇ぐだけ様々な色の紙が空中を高く舞い上がり、目の前全体にひらひらとゆっくり紙が吹雪のように落ちてくる様子に子どもたちは大喜び。気が付くと、全ての子どもがうちわを持って紙吹雪の中ではしゃいでおり、その周りには一人遊びをしている子どもは誰もいませんでした。

 子どもたちが生き生きと意欲的に参加することを目指して、プログラムを計画していきます。しかし、実際に活動を行ってみると、思ったように子どもが参加してくれなかったり、あるいは逆に予想以上に子どもたちが楽しく取り組んだりすることがあります。そういう時にこそ、子どもの反応をよく見て環境設定を分析し、何が悪かったのか?何が良かったのか?を考え、次の活動に生かすということを今回のムーブメントで実感しました。少なくとも、ぷちすてっぷのムーブメントに参加した自閉症の子どもにとっては、「視覚的に変化の富んだ刺激のある教材や遊具を使用する」、「それと合わせて触感覚にも快の刺激が与えられるような動きや動作を取り入れる」ということが有効であるように思いました。

 また約3ヵ月後にもムーブメントを継続してして欲しいと、ぷちすてっぷの方から依頼がありました。この経験をぜひ次回のムーブメントに生かしたいと思います。

子どもの成長と家族の喜び2008/04/01 23時35分32秒

子どもの成長
 3月23日(日)に愛媛支部が主催する今年度(平成19年度)最後の定例学習会を愛媛大学教育学部附属特別支援学校の遊戯室で行いました。
今回の定例学習会は、子どもの1年間の成長を確認することができる活動になりました。内容としては、これまでに経験してきたいろいろな動きを取り入れて、総合的な活動になるサーキットムーブメントが中心となり、去年の9月から継続して取り組んできたタオル体操のダンスバージョンに加えて、お風呂バージョンも行いました。

 今回のサーキットムーブメントでねらったメインの達成課題は「身体意識」です。
 ムーブメント教育においては無くてはならない、絶対にはずせない達成課題であるだけに、あえて初心に帰ってプログラムを立てました。
○穴の開いた新聞紙を破らないように体を調節してくぐる。
○足型に穴の開いた新聞紙に、足を入れて進む。
○二つの穴の開いた新聞紙に二人で頭を入れて進む。
○缶ポックリを操作して進む。
○ビーンズバッグを操作して進む。
○二人で風船を背中に挟んで進む。
どの活動も「身体意識」だけでなく、視知覚連合運動や操作性、社会性などの様々な達成課題が複雑に絡み合っています。子どもたちは、活動環境を自分で捉え、考えて体を動かし、時には友達と一緒に課題に取り組んでいました。初めて経験する缶ポックリでは、自分でできそうな大きさを選んでこけないようにゆっくり進んだり、ビーンズバッグを足の甲に乗せるとき、どうしても落としてしまうので、手で押さえながら進んだりと・・・。具体的な動きのモデルを示した訳でもなく、アドバイスした訳でもなく、子どもたち一人一人が考え、友達の動きを見て出てきた行動でした。

 1年間(12回)の活動を終えて、改めて子どもの成長を実感したのは、この動き(課題)が「できるようになった」というだけではなく、「できないけれどもやろうとした」「リーダーや友達の動きを見ていた」「自分で考えた動きをしていた」ということがたくさんの子どもに見られたことです。子どもの成長とともに、我々スタッフ側も子どもの成長を見る視点が広がり、子どもと一緒に成長することができました。
 活動後の保護者との話し合いの中で、「ムーブメントを含めた生活を通して、協調性が身に付いてきた」「集団の中で周囲を見ながら動きを判断する場面を経験できるのでありがたい」というような温かい感謝の言葉をたくさん頂きました。子どもの成長と家族の喜びを共感することができた、とてもありがたくそして嬉しい瞬間でした。

 さていよいよ、平成20年度がスタートしました。
 1年間の成果と反省を生かし、子どもの更なる成長と保護者の願いを達成できるよう、また1年みんなで協力して頑張っていきたいと思います。

地域の子どもたちとムーブメント2008/03/25 11時58分18秒

地域の子どもたち
 先日の日曜日、松山市内の荏原地区にある公民館でムーブメント活動を行いました。これは、荏原公民館の地域支援活動の一環で、地域の保護者と民生委員の方々が協力して、毎月1回日曜日の午前中に行う公民館活動です。“パンパンパーン”という名称になっています。
 荏原校区の就学前の子どもや荏原地区の小学生、その地区にある児童デイサービスを利用している子どもたちなど、たくさんの子どもが集まって、10:30~11:45の約75分間楽しく活動します。
 前半の約20分は、保護者の方が絵本の読み聞かせやパネルシアター等をして子どもたちと楽しく語らいます。お母さん方もいろいろなパフォーマンスを考えてくれるので、周りの大人たちも真剣に見てしまいます (@^∇^@)。
 これが終わると、みんなで楽しく体を動かすムーブメントの始まりです。この公民館活動の中に愛媛支部として出張ムーブメンを行うようになって、約1年になました。地域の子どもたちも、ムーブメントの楽しさ・おもしろさに慣れきて、月1回のこの活動を楽しみに参加しているようです。

 さて、今回のパンパンパーンの活動は・・・
○パネルシアター(お母さん)
○絵本「ねずみくんのチョッキ」の読み聞かせ(お父さん)
○ムーブメント活動
 ・学習パイプを使ったムーブメント
 ・ビーンズバックを使ったムーブメント
 ・ロープと学習パイプを使ったムーブメント
 ・パラシュートムーブメント
 です。
 
 参加している子どものほとんどが、地域の幼稚園・保育園に通う子どもたちや、さらにその弟、妹も参加しているので、小さな集団になります。が、子どもたちの活動意欲はとても旺盛で、スタッフは一緒に活動していて汗だくになるくらいです。
 こういう時に、公民館の民生委員の方々や子どもの保護者の方が、さりげなくそして積極的に活動に入ってサポートしてくれたり、子どもの活動を応援してくれたりするので、楽しい中にもほのぼのとした暖かい雰囲気になるのが、このパンパンパーンのいいところだと実感しています。
 地域の子どもと保護者、そして子育て生活をサポートする民選委員の方々。そういった地域のまとまったシステムの中に愛媛支部のムーブメント教育を加えていただき、大変いい経験をさせてもらっていることを感じました。

活動の原動力となる期待感2008/03/12 00時35分04秒

学習パイプを使ったムーブメント
 先日の3/8(土)、地域生活支援センター夢ポケットの児童デイサービスにおいて、3月最初(1回目)のムーブメント活動を行いました。
 この日は第2土曜のムーブメント活動日なので、参加者は全員小学生(地域の特別支援学校小学部もしくは、小学校の特別支援学級や通常学級に通う子どもたち10名)で、とても活発に動き回る元気な子どもたちでした。

 今回のプログラムは、
①フリームーブメント
②走行ムーブメント
③形板を使ったムーブメント
④学習パイプを使ったムーブメント
⑤パラシュートムーブメント
です。
 この④の学習パイプのムーブメントでは、初めて扱うムーブメント遊具だったようで、特に「パイプの上を滑ろう」というムーブメントでは、みんな意欲満々で取り組んでいました。
 この活動は、写真上のように木箱に挟まれた間にパイプを並べ、その上に布を敷き、その布の上に子どもが腹ばいで乗り、スタッフが布を引っ張ってパイプの上を滑っていくというものです。ちょうど公園や遊園地にあるローラー滑り台のようなもので、子どもたちはパイプの転がりを布を通して体で感じる楽しみと、引っ張られてスムーズに滑る爽快感を楽しむことができます。中には、「スーパーマンだー!!」と言いながら滑る子どももいて、滑りながらいろいろなポーズをして楽しんでいました。
 しかし、この時のこのムーブメントは一人ずつしかできなかったので、一人が終わると散らばったパイプをまた元に戻し、布をかけてやっと次の人ができるというタイムロスが生じてきます。待つというのが苦手な子どもたちがたくさんいるので、スタッフが直している間の子どもたちは落ち着かなかったり、待てずに別のことで遊んでしまうという状態でした。
 そこで、「パイプを元に戻すのをみんなも手伝って。そうしたら、早く順番が回ってくるよ」と提案すると、それまでイライラしながら待っていた子や別のことをして遊んでいた子どもまでが、我先にと散らばったパイプを集めて次の人のために準備を手伝ってくれました。そのお陰で、セッティングの時間がこれまでの半分に短縮でき、子どもたちにとっても早く順番が回ってきただけでなく、一人2回できるという大きな楽しみにつながりました。

 自分の順番が来るまでじっと待つということも大切ですが、まだまだ待つということが難しいこの時期の子どもにとっては、「これ、楽しいそう!早くやりたい!!」という期待感を上手く利用した働きかけと環境設定が必要であると改めて感じました。そいう活動の原動力となる期待感を、ムーブメント教育の様々な活動で設定していき、繰り返し体験していく積み重ねが、自分の順番まで待てるということにもつながるのでしょうね。
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