缶ポックリでムーブメント2008/10/01 16時52分48秒

缶ポックリでムーブメント
久しぶりのブログ更新です。
諸事情によりブログに手をつけることができませんでしたが、心機一転がんばって続けていきたいと思います。

さて、皆さんは缶ポックリという遊び(おもちゃ)を知っていますか?
今のような任天堂DSやPS(プレステ)、Wii、ちょっと昔のファミコンなどのようなゲーム機がなかったかなり前の時代に、子どもたちが自分で作って遊んだおもちゃです。
知っている人も多いと思いますが、食べ終わった缶詰2個にひもを通す穴を開け、ひもを通して輪にするだげのもので、だれにでも簡単に作れるのが魅力的です。
缶に足を乗せ、ひもを手に持って引っ張り上げ、手と足を連動させてカパカパと歩く単純な遊びですが、今時の子どもはこんな遊びの経験が少ないからか、初めてする時にはかなり喜んで取り組んでくれます。(こればっかりすると飽きてきて、すぐに嫌になると思いますが・・・)

この缶ポックリの遊びを愛媛支部のムーブメント活動の中にも取り入れてみました。単にパカパカを歩くだけでも手足の連合運動になるのですが、さらに楽しくするために、コースを作ってそこに課題を設定しました。低い棒を床に並べてまたいでみたり、大きな積み木で階段を作ってそこを登ったり降りたり・・・。
また、缶ポックリの缶にバリエーションをつけて、いろいろな缶詰を使って缶ポックリを作ってみました。
直径20cm、缶の高さ20cmの大きな缶ポックリから、低いもの、直径が短くて高いもの、缶2個をつなげて(空き缶は合計4個使用)足の形にヒットするようなもの、楕円形の缶を使用したものなど・・・。
このいろいろな缶ポックリを、愛媛支部のムーブメント学習会だけでなく、私の勤務する学校の体育の授業で取り組んでみました。

また、手足に障害があって、手足の連動した動きを自分からするのが難しく、缶から簡単に足が離れてしまう子どものために、100円ショップで買ったスリッパにひもを通して缶ポックリのようなスリッパを作りました。そうすることで、足が簡単に離れず、後ろから支援する先生と一緒に缶ポックリと同じ活動に参加できました。

5月から始めた缶ポックリの活動を継続したことにより、これまでできなかった生徒が、5m、10mと長く進めるようになりました。子ども自身もできるようになったことで自信がついたようです。
そこで、運動会の個人走種目にも缶ポックリを競技を入れることになりました。スタートから5mまでを缶ポックリを履いて進み、その後は走ったり、ハードルを越えたりという競技です。
運動会当日は、普段の成果が子ども一人一人に現れ、保護者や応援してくれたみんなから大きな拍手と声援をもらいました。

単純で且つ簡単に作れる缶ポックリ。障害のある子どもにとっては、最初は難しい活動でも、ムーブメントに取り入れてみんなと楽しく遊び、授業でも継続して取り組んだことで、自信をもって意欲的に取り組める遊びとなりました。

まだまだ昔の遊びには、お宝がねむっていそうです。

トランポリンの魅力2008/04/18 15時07分25秒

 先日の4月13日(日)、愛媛大学教育学部附属特別支援学校の遊戯室で2008年度第1回目のムーブメント定例学習会を行いました。
 学校は桜満開で、春爛漫!。でも天気は残念ながら曇りで少し肌寒い感じがありましたが、学校に足を運んでくる子どもたちの期待にあふれた笑顔で、周りの雰囲気は一気にヒートアップ!。やはり、子どもたちの存在そのものが、身も心も温かくしてくれるようです。

 さて、今回の定例学習会のプログラムは・・・
①フリームーブメント
②ホースムーブメント
③タオル体操
④色遊びサーキット
⑤パラシュート
⑥紙吹雪遊び
 です。最後の活動「紙吹雪」は、ぷちすてっぷのムーブメントで行った遊びで、是非愛媛支部の子どもたちにも経験させてあげたいと思い、取り入れました。

 ところが、今回の活動には子どもの知的好奇心を掻き立てる思わぬ遊具が待っていたのです。このタイトルにもあります「トランポリン」です。
 いつも活動を行っている遊戯室には、子どもが5~6人が同時に乗って遊べる大きなトランポリンがあります。いつもは部屋の隅に立てかけて使えない状態になっているので、愛媛支部のムーブメント活動では取り入れていませんでした。しかし、当日準備でスタッフが遊戯室に入ると、トランポリンが出したままの状態になっていたのです。この時、スタッフの間に「今日のムーブメントにこのトランポリンを取り入れよう」という即行のプログラム変更が行われました。ただ、他の活動の準備もあるため、トランポリンを端の方に寄せてマットをかぶせていました。
 会場に入ってきた子どもたちは即座にトランポリンを見つけ、やはりそこに駆けつけます。「後でたっぷり遊ばせてあげるから」としっかり約束してムーブメント活動をスタートしました。
 そして、トランポリンの活動になると、子どもたちは待ってましたと言わんばかりにトランポリンに飛び乗り、跳んだり跳ねたりとみんな時間いっぱい楽しみました。今回計画していたプログラムにはない予定外のトランポリンでしたが、どの子を見ても生き生きした表情で時間を忘れるくらい熱中していました。

 ムーブメント教育・療法において、パラシュートと同じくらい子どもに人気のあるトランポリンは、バランス感覚、調整力、脳神経の発達、空中動作の習得など様々な達成課題がねらえるため、教育現場・保育現場だけでなく、医療・療育現場にも王道として取り入れられています。子どもにとっては、高く跳ぶことで開放感を味わうことができ、地上では眺めることのできない風景をトランポリンによって繰り返し眺めて楽しむことができます。
 思うに、トランポリンには子どもがうれしい時ピョンピョン跳び上がって喜ぶように、人間の喜びの表現に通じる動きが主体となっているため、子どもに限らず大人にも楽しめるという魅力があるのではないでしょうか。
 今回、サプライズのように登場したトランポリンでしたが、やはりこの魅力に愛媛支部の子どもたちもはまってしまったようです。

 詳しい活動の様子は、愛媛支部のホームページに掲載する予定ですので、しばらくお待ちください。

子どもの反応から学ぶ2008/04/16 20時24分03秒

紙吹雪の様子
 本業である学校の仕事に追われてしまい、しばらくブログの更新が遅れていました。少しずつ溜まった思いやネタを織り交ぜながら、ブログに載せていきたいと思います。

 さて、先日の3/30(日)に「NPO法人ぷちすてっぷ(発達障がい児の支援を考えていく親の会)」から依頼を受け、ぷちすてっぷでは約3ヶ月ぶりのムーブメントを行いました。この日は朝から雨が降っていたにもかかわらず、春休み中だったこともあり参加した子どもの数が20名近くと、これまでにない大人数でした。
 今回のプログラムは、
①絵本の読み聞かせ
②タオルムーブメント
③缶ポックリムーブメント
④スクータームーブメント
⑤うちわムーブメント
⑥パラシュートムーブメント
 というように、愛媛支部で行った活動を少し修正した内容で構成し、約1時間という少し長目のムーブメントを行いました。

 このぷちすてっぷのムーブメントに参加してくれる子どもは、多くが自閉症もしくは自閉傾向のある特性をもっております。最初のうちはムーブメント活動に対する興味関心があまりなかった子どもたちも、さすがに3回目の活動ということと、活動場所も3回とも同じ場所であるということもあって、場所の雰囲気やムーブメントの流れにも慣れてきて、積極的に参加してくれるようになりました。
 しかし、子どもたちは素直で正直なもので、順番を待たされるもの、最初面白そうだと思って取り組んでみたものの、やってみたら興味がもてなかったもの、始めから興味関心がないものなどにはその場を離れてしまい、遠巻きに活動を見ながら自分の好きな遊びに興じることがよくあります。場の設定や指示の出し方、教材や遊具の使い方はよかったのか?と、この時ほど我々の環境設定の仕方を痛切に反省させられることはありません。
 今回で言えば、缶ポックリとスクーターのムーブメントでした。最初の取り掛かりはよかったものの、時間が経つにつれて一人減り、二人減りと少しずつ減っていって、約半分の自閉症の子どもがその場を離れてしまいました。
 ところが、うちわを使ってたくさんの風船を打ち上げる「うちわムーブメント」になると、少しずつみんなの集団に戻ってくるようになり、両手でうちわを持ちカラフルな風船を体育館いっぱいに追いかけていました。そして、細かく小さく切った紙をうちわで扇いで紙吹雪を起こす活動では、扇げば扇ぐだけ様々な色の紙が空中を高く舞い上がり、目の前全体にひらひらとゆっくり紙が吹雪のように落ちてくる様子に子どもたちは大喜び。気が付くと、全ての子どもがうちわを持って紙吹雪の中ではしゃいでおり、その周りには一人遊びをしている子どもは誰もいませんでした。

 子どもたちが生き生きと意欲的に参加することを目指して、プログラムを計画していきます。しかし、実際に活動を行ってみると、思ったように子どもが参加してくれなかったり、あるいは逆に予想以上に子どもたちが楽しく取り組んだりすることがあります。そういう時にこそ、子どもの反応をよく見て環境設定を分析し、何が悪かったのか?何が良かったのか?を考え、次の活動に生かすということを今回のムーブメントで実感しました。少なくとも、ぷちすてっぷのムーブメントに参加した自閉症の子どもにとっては、「視覚的に変化の富んだ刺激のある教材や遊具を使用する」、「それと合わせて触感覚にも快の刺激が与えられるような動きや動作を取り入れる」ということが有効であるように思いました。

 また約3ヵ月後にもムーブメントを継続してして欲しいと、ぷちすてっぷの方から依頼がありました。この経験をぜひ次回のムーブメントに生かしたいと思います。

地域の子どもたちとムーブメント2008/03/25 11時58分18秒

地域の子どもたち
 先日の日曜日、松山市内の荏原地区にある公民館でムーブメント活動を行いました。これは、荏原公民館の地域支援活動の一環で、地域の保護者と民生委員の方々が協力して、毎月1回日曜日の午前中に行う公民館活動です。“パンパンパーン”という名称になっています。
 荏原校区の就学前の子どもや荏原地区の小学生、その地区にある児童デイサービスを利用している子どもたちなど、たくさんの子どもが集まって、10:30~11:45の約75分間楽しく活動します。
 前半の約20分は、保護者の方が絵本の読み聞かせやパネルシアター等をして子どもたちと楽しく語らいます。お母さん方もいろいろなパフォーマンスを考えてくれるので、周りの大人たちも真剣に見てしまいます (@^∇^@)。
 これが終わると、みんなで楽しく体を動かすムーブメントの始まりです。この公民館活動の中に愛媛支部として出張ムーブメンを行うようになって、約1年になました。地域の子どもたちも、ムーブメントの楽しさ・おもしろさに慣れきて、月1回のこの活動を楽しみに参加しているようです。

 さて、今回のパンパンパーンの活動は・・・
○パネルシアター(お母さん)
○絵本「ねずみくんのチョッキ」の読み聞かせ(お父さん)
○ムーブメント活動
 ・学習パイプを使ったムーブメント
 ・ビーンズバックを使ったムーブメント
 ・ロープと学習パイプを使ったムーブメント
 ・パラシュートムーブメント
 です。
 
 参加している子どものほとんどが、地域の幼稚園・保育園に通う子どもたちや、さらにその弟、妹も参加しているので、小さな集団になります。が、子どもたちの活動意欲はとても旺盛で、スタッフは一緒に活動していて汗だくになるくらいです。
 こういう時に、公民館の民生委員の方々や子どもの保護者の方が、さりげなくそして積極的に活動に入ってサポートしてくれたり、子どもの活動を応援してくれたりするので、楽しい中にもほのぼのとした暖かい雰囲気になるのが、このパンパンパーンのいいところだと実感しています。
 地域の子どもと保護者、そして子育て生活をサポートする民選委員の方々。そういった地域のまとまったシステムの中に愛媛支部のムーブメント教育を加えていただき、大変いい経験をさせてもらっていることを感じました。

活動の原動力となる期待感2008/03/12 00時35分04秒

学習パイプを使ったムーブメント
 先日の3/8(土)、地域生活支援センター夢ポケットの児童デイサービスにおいて、3月最初(1回目)のムーブメント活動を行いました。
 この日は第2土曜のムーブメント活動日なので、参加者は全員小学生(地域の特別支援学校小学部もしくは、小学校の特別支援学級や通常学級に通う子どもたち10名)で、とても活発に動き回る元気な子どもたちでした。

 今回のプログラムは、
①フリームーブメント
②走行ムーブメント
③形板を使ったムーブメント
④学習パイプを使ったムーブメント
⑤パラシュートムーブメント
です。
 この④の学習パイプのムーブメントでは、初めて扱うムーブメント遊具だったようで、特に「パイプの上を滑ろう」というムーブメントでは、みんな意欲満々で取り組んでいました。
 この活動は、写真上のように木箱に挟まれた間にパイプを並べ、その上に布を敷き、その布の上に子どもが腹ばいで乗り、スタッフが布を引っ張ってパイプの上を滑っていくというものです。ちょうど公園や遊園地にあるローラー滑り台のようなもので、子どもたちはパイプの転がりを布を通して体で感じる楽しみと、引っ張られてスムーズに滑る爽快感を楽しむことができます。中には、「スーパーマンだー!!」と言いながら滑る子どももいて、滑りながらいろいろなポーズをして楽しんでいました。
 しかし、この時のこのムーブメントは一人ずつしかできなかったので、一人が終わると散らばったパイプをまた元に戻し、布をかけてやっと次の人ができるというタイムロスが生じてきます。待つというのが苦手な子どもたちがたくさんいるので、スタッフが直している間の子どもたちは落ち着かなかったり、待てずに別のことで遊んでしまうという状態でした。
 そこで、「パイプを元に戻すのをみんなも手伝って。そうしたら、早く順番が回ってくるよ」と提案すると、それまでイライラしながら待っていた子や別のことをして遊んでいた子どもまでが、我先にと散らばったパイプを集めて次の人のために準備を手伝ってくれました。そのお陰で、セッティングの時間がこれまでの半分に短縮でき、子どもたちにとっても早く順番が回ってきただけでなく、一人2回できるという大きな楽しみにつながりました。

 自分の順番が来るまでじっと待つということも大切ですが、まだまだ待つということが難しいこの時期の子どもにとっては、「これ、楽しいそう!早くやりたい!!」という期待感を上手く利用した働きかけと環境設定が必要であると改めて感じました。そいう活動の原動力となる期待感を、ムーブメント教育の様々な活動で設定していき、繰り返し体験していく積み重ねが、自分の順番まで待てるということにもつながるのでしょうね。
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